メンズ必携、フェルトハットはスーパースターに愛された帽子

フェルトハットの歴史

2020年08月20日 17時51分



100年前のヨーロッパにおいては、帽子はすべての紳士にとって、必要不可欠なアイテムでした。さまざまな機会、場所においてドレスコードが存在し、そのようなシチュエーションにおいて、適切な服装、そして適切な帽子を選ぶことは当たり前のことでした。100年前の紳士たちは、フォーマルなトップハット(シルクハット)も含めて、たくさんの帽子をローテーションしていたに違いありません。
 
その中にも「フェルトハット」は含まれていました。フェルトで作られた帽子は19世紀以前にもありましたが、基本的にこの帽子を上流階級の人間がかぶることはなかったそうです。20世紀に入り、「フェルトハット」は脚光を浴びます。1924年、プリンス・オブ・ウェールズが「フェルトハット」をかぶっていたのです。このことが知れ渡ると「フェルトハット」は帽子の主役の座にまで登り詰めます。
 
しかしその後、ファッションがカジュアルな方向に向くにつれ、「フェルトハット」の存在感が薄れ始めます。この存在感が薄れ始めたことが、今日の「フェルトハット」という言葉の曖昧さにつながっていますが、この頃から「フェルトハット」の多様化が進んだと言いかえることもできるでしょう。
 
クラウンの形や色、フェルトの固さ、デコレーションの種類や組み合わせ。ウエスタンハットの老舗「ステットソン」が販売した「Playboy」というフェルトハットのラインアップは、1940年までに200万個が出荷されたといいます。
 
20世紀の半ばになると、クラシックスタイルのフェルトハットに人気が集まります。ハリウッド俳優の「ハンフリー・ボガート」や、時の人「アル・カポネ」らが好んで着用したのです。上流階級の人々や、古くさい貴族的な考え方の人間を除き、多くの男性がフェルトハットを愛用しました。1940年代から50年代にかけて、フェルトハットはどんなシチュエーションでも着用できる帽子として重宝されたそうです。その後しばらくの間、フェルトハットはファッションの第一線から姿を消すことになります。
 
1980年代になると、フェルトハットはアドベンチャラスに、そしてポップに復活を遂げます。
 
スティーブン・スピルバーグ監督の冒険ムービー「インディージョーンズ」で、主演のハリソン・フォードが着用したブラウンのフェルトハット。すばらしい演技を披露したハリソン・フォード=考古学者インディアナ・ジョーンズは、その象徴であるフェルトハットと共に多くの人々の心に刻み込まれたのです。
 
フェルトハットのリバイバルに貢献したもうひとりのスーパースターはご存じ、マイケル・ジャクソンです。非の打ち所のない軽快で巧みなダンスと歌唱力。フェルトハットは常にマイケルとともにありました。80年代、マイケルはおそらく人類で一番の有名人だったに違いありません。30年が経過した現在も、偉大なポップスターのイメージを追い、多くの人々がフェルトハットを愛用しています。